(Posted:2005-10-23)
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昔見た映画のセリフに「湘南なんか言わないの、ここは稲村、稲村ヶ崎。」というセリフがあった。
湘南のおしゃれなイメージはないがここにはいい波といい夕日がある。そしていいか悪いかは別として、妙に落ち着ける店"フラワーマン"というBarがある町、"瓦ヶ崎海岸"。
この物語は、そんな田舎町の一人の男と、二人の男女の海にあこがれ、音楽を愛する物語です。

青い空、青い海、ただそこには空海があるだけ。
梅雨の合間の五月晴れた瓦ヶ崎海岸の白く広がる砂浜、その向こう側にアメリカの片田舎によくありがちな"ハウス"のような建物。
潮風に吹かれ、少し古びた感じの店 Bar フラワーマン。
その店の入り口の横の海が一番きれいに見える場所をぶんどって、椅子に腰掛け、アイリッシュビール"ギネス"を飲みながら、優しく耳に届くロックを聴いている。
一人のひげおやじ。ヒゲとこじゃれた前髪が特徴の男 "弘二"。みんなからは"弘ちゃん""コウチャン""こうちゃん"と意外にも親しまれている。

「おい、バイト君、よーく見てみろ、見えるだろ、この先によ。」
ヒゲをさわりながらバイトのナオヤに声をかけるが、ナオヤは掃除で忙しそう。
「なにがですか?」
「バーカ、見えねえのかよ、ハワイだよ。ハワイ。ハワイはいいぞ。」
「なにいってんですか。見えるわけないでしょ。ここは日本、そして瓦ヶ崎ですよ。ハワイは、ずーーっと遠く、アメリカですよ。アメリカ。」
「それはナオヤの目だからだろ、俺は10.0あんだよ。視力10.0。いいぞ、ハワイは」
マスター弘ちゃんは酔っ払うと客にハワイの話を始める、ハワイ馬鹿。

今はまだ、夕暮れ前なので"ギネス"を飲んでいるが、日が沈むと店をあけ、いも焼酎"富乃宝山"を飲んで、カウンター越しにお客さんより良く喋り、お客さんより、よく飲む。あきれた男だ。
でも妙に僕はこの男が好きだ。



16のとき、横浜を飛び出し、もう2年もこの店で働いている。あっ、ごめんなさい。申し遅れました。僕、ナオヤっていいます。以後、お見知りおきを。
「おーい、ナオ、酒がないよ、酒が、バカ!客のじゃないよ。俺の。俺の酒。」
まだ夜の9時だというのに、パイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップを思わせるフラフラさ。
「弘ちゃん飲みすぎ、っていうよりお客さんにも作ってあげてくださいよ。」
「いいんだよ。俺が飲みたいから店を出したの、それに俺は神様だから、いいの。俺、ばっかす飲むの。」
来た。そろそろ来た。もうすぐ始まる弘ちゃんタイム、今日はなんの話で盛り上がる?弘二?



...続く


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